作品『TRIBUTE』について
作:畝高響子

美しい旋律に乗せて繰り広げられる物語を
耳で聴き、自ら想像し想いを寄せる作品
命の尊さ・大切さ・失う悲しさ・愛の芽生え

あらすじ(ストーリー)
この物語は、ごく普通の家庭に生まれた、ごく普通の少年の成長を描いています。
**第1幕(上下巻抜粋)**は、少年が5歳の誕生日に子犬をプレゼントされた場面から始まり ます。
小さな体を震わせながら尻尾を振る子犬と、目を輝かせる少年。その瞬間から二人はか けがえのない相棒となり、
喜びも悲しみも、そして命の尊さまでも分かち合いながら成長して いきます。その家庭には、今では少なくなった
「おばあちゃん」がいます。孫である少年に語 りかける愛情あふれる言葉は、まるで心に温かな灯をともすように少年を
育みます。その言葉 は、彼を優しく、そして強い人間へと成長させていきます。
やがて少年は数々の悲しみや苦し みを乗り越え、夢を追いかけます。そして夢を叶えた時、自分を支えてくれたすべての存在に 「感謝」という思いを深く刻むのです。 **第2幕(受け継ぐ思い)**では、主人公の父親の幼少期へと物語が移ります。
舞台は長崎。 原爆が落とされ、荒廃した街を必死に生き抜いた祖父の記憶から始まります。
主人公は初めて 祖父の歩んだ道を知り、自分のルーツを実感します。戦後の厳しい時代をたくましく生きてき た人々の姿、
そして父親の幼い頃の思い出が重なり、主人公は改めて「感謝」の大切さを胸に 刻みます。祖父から父へ、
そして自分へ――受け継がれてきた思いを語り合いながら、その絆 の重さを強く感じていきます。 この「トリビュート」は、
私たちが日常の中で忘れがちな大切なことを、もう一度思い起こ させてくれる物語です。すべてを聴き終えたとき、
きっと聴いてくださった方の胸に「大切な 誰か」の顔が浮かび、その人に「ありがとう」と伝えたくなることでしょう。
演出は「リーディングコンサート」という形で行われます。映像ではなく、声優による味わい 深い朗読で、
登場人物たちが生き生きと語りかけてきます。その言葉に寄り添うように、演奏 家たちが情景や想いを音楽で描き出します。
そして場面ごとに大型スクリーンに挿絵が映し出 され、まるで劇中劇を観ているように物語が目の前に広がります。
―聴く人が、まるで自分自身の物語のように感じられる。そんな世界を目指して、 このコンサートは作られています。


音楽
本作品は、物語の場面ごとに登場人物の想いや情景をイメージし、それぞれに寄り添う形で 作曲しました。
上巻はすべてピアノ曲で構成されています。現在ピアノを学んでいる子どもた ちが、その情景を思い描きながら演奏できる
ように意図しました。演奏にはテクニックが必要 不可欠ですが、それだけでは音楽にはなりません。
もし正確さだけを求めるならば、コンピュータが人間以上に正確に音を並べることでしょう。 けれども、
音楽が人の心に届くのは、人が奏でるからです。だからこそ、幼い頃からテクニッ クと同じくらい「想像力」を育むことが
大切だと私は考えています。そのために、物語に沿っ てイメージしやすい楽曲に仕上げました。
下巻では、フルート・ヴァイオリン・ヴィオラ・チ ェロといった楽器を組み合わせています。
それぞれの楽器が持つ響きの特性を生かし、より豊 かに物語を描き出すことを目指しました。
ピアノの繊細な表現に加え、弦楽器や管楽器の温もりや深みが加わることで、より立体的に 世界観を感じていただけると思います。
